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バスターのバラードのtsuraのレビュー・感想・評価

バスターのバラード(2018年製作の映画)
3.7
ネットフリックスでの初鑑賞作品です。

実はこういった動画配信サービスは否定派だったけど…「ROMA/ローマ」がNetflixでの配信のみなので、これはもう致し方が無いと半ば降参し、否定派という考えを伏せて登録笑。

で、先ずはという感じで本作を観たわけだけど…意外にコーエン兄弟の作品を見れてなかった自分に驚いた。

ノーカントリーみたいなオスカー作品は見たけれどそれ以外を思い返してみるとファーゴにバーバーくらいだった。
だから何なのと言われればそこまでなんだけど笑

閑話休題。

作品は6つ短編から成るオムニバス形式の西部劇である。
当初はミニテレビシリーズ的なフォーマットでストーリーが構築されていた様だが、映画として発表すると決まり、脚本を再構成して本作へ、という流れだそう。

でも不思議なのはひとつとして、繋がりの無いエピソードどうしが仲良く繋がっているのだ。

それはこの作品に一貫して流れるブラックユーモアとストーリー構成がいずれも消し合う事なく両立しているからに他ならないと思う。

ブラック過ぎるコメディで圧倒して瞬殺されて冥界へ舞っていくバスターのバラードがオープニングから最高に痺れさせてくれるのだが、各ストーリーはそれぞれに複雑な香味を私達にもたらしてくれる。
深遠なストーリー、コーエンらしい皮肉、人間の暗部、人間性の持つ黒さとか…。
そういったところで言うとジェームズフランコがダサカッコいい「アルゴドネス付近」や「金の谷」はその人間臭い醜悪たる欲望がフツフツと映画という快楽に結びつけられている。

でも"らしい"といえばハラハラドキドキをまさかの話術で押し切る「遺骸」なんてまさに意外で笑。

いろんな旨味のアンサンブル、西部開拓時代のアメリカを是非堪能してほしい。

ちなみに各エピソードは以下のとおり。
短編小説を気取ったフォーマットがまた憎らしい。

1.バスターのバラード
2. アルゴドネス付近
3.食事券
4.金の谷
5. 早とちりの娘
6.遺骸
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