やっぱりカルカン

ジョーカーのやっぱりカルカンのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

基本いつもはTVの地上波・BSで無料放送される映画だけしか見ないのですが、スマホを契約しているauからAmazonプライム1年間無料権が進呈されたので、前から見たかったジョーカーを見ようと思い立ちました。

この映画は元から見たかったのですが「京王線のジョーカー」事件の発生でより一層見たくなりました。簡単に言うと私と同じような「無敵の人」が無双する話で、非常に共感できると思ったからです。
かなり話題になりましたのでストーリーはほとんど知っていたのですが、ホアキン・フェニックスの演技が凄すぎて心が震えるのを止められませんでした。セリフがそんなにないのに、存在感を含めて、演技だけで視聴者の胸をグリグリえぐってくるところがすごかったです。
1時間ぐらい空き時間ができたので半分くらいまで見て残りは改めて後日見ようと思っていたのに、引き込まれすぎて夜更かししてつい最後まで見てしまいました。

感想や考察などググれば出てくる内容はあえて書かないようにしますが、1つだけ…
最後に正装したアーサーは絶対にトーマスを殺しに行くだろうと思ったのに、実際はその辺のなんかよく分からない奴がトーマスを殺してしまったと思ってモヤモヤしました。
でもよく考えてみるとアーサーが「ジョークを思いついて」と言った後に殺されたトーマス夫妻のカットインがあったので、もしかしたら映像の時系列が前後しているだけでカウンセラーを殺して病院から抜け出し、街に出たジョーカーがトーマス夫妻を殺したのかもしれません。
犯人はピエロの仮面をつけており、ニット帽の中に髪の毛を隠していたので長さも色も分からないのでどうとでも取れるという事です。英語だと判別できなかったのですが、犯人は殺す前に「トーマスだな。報いを受けろ」といったようなセリフがあったかと思いますので、吹き替えで見たら、声優がアーサーと同じ人かどうかで判別できるかもしれません。

アーサーではないその辺の奴がトーマスを殺す可能性もじゅうぶんあると思いますが、もしそうならやっぱりアーサーがいたたまれないし映画が完成されないと思うので、最後まで自分の手で目的を達成して欲しいという意味で私はトーマス夫妻を殺したのは病院から脱走したアーサー説を推したいと思います。
そうでないと後のバットマンとジョーカーが憎しみ合って戦う意味がないですし、ジョーカーは覚醒してから自分に対して不当な扱いをした人間はきっちりもれなく殺してきましたからね。(最後のカウンセラーだけはアレですが)

ジョーカーはヴィランで悪者である事は間違いないのですが、見終わったあと私はスッキリしましたし、ジョーカーがんばれ!強く生きろ!と応援したくなるような作品でした。アーサーの人生は正直言って終わっており、変な希望や愛などが一切なく、悪役として一直線に生きていくしか残された道が無い、決定的に救いようのない「無敵の人」だった所がよかったです。
見る前はホラーとか怖そうとか猟奇的な作品なのかと思っていましたが、優しくてとても哀しいアーサーの人生を感じられた良作でございました。