ゴッサムシティに蔓延する負のオーラみたいなものを描き、その中でアーサーが自らの過去を知ることで狂気を帯びていく。そんな単純なものじゃ無いけど、それくらいわかりやすいストーリーだった。
ジョークと現実の境目。それがコンセプトの1つにあった。ジョーカーのセリフはジョークと本音が混ざっていて、なんというか混沌としていた。だが、それがまた良かった。否定し切れないところを突かれた様な感じ。
演出ではタバコと笑いを上手く使っていた。荒廃感のあるタバコの煙と何を考えているか、次に何が起こるか分からない笑いのシーン。描き切らないところも多く、こういった類の映画では観ている人に委ねるのは珍しい。
冒頭の涙を流しながら笑顔を作る練習をするシーンは一生忘れられない。