waka1222

ジョーカーのwaka1222のネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかったこの作品。ようやく観れました。

私の中でのジョーカーはヒースレジャーのイメージが強くて、どんな感じなのかな、とワクワクして観てました。面白かった。あっという間でした。

個人的に「持たざる者が社会から受ける扱い」は共感するところがあり、観ていて苦しかったです。コメディアンとしての才能もない、病気で家庭環境も悪く、母の介護に追われ、仕事もうまくいかない。もちろん愛し合う人もいない。「なぜ私を邪険にする」的なセリフが物語るように、誰も自分の存在を可視化していないような、いてもいなくてもいい、と思われているような、そんな辛さ。そこからグッと堪えて、努力を繰り返して、少しずつ少しずつ、何かを積み重ねていくしかないのだけれど、少なくとも私はそう思っているのだけど、こんな環境だとどうしても難しい。それがわかるから苦しかった。皮肉にも、犯罪を犯した後に、自分の存在が可視化されていく。そこに救いを求めてしまうのは、違和感はあるけど、気持ちはわかるなと思いました。

なぜこんな可愛い彼女がいるのかしら、謎、と思っていたけど、妄想なのね。そりゃそうだよね。だから、最後番組に呼ばれた、というのはこれも妄想なのかと思っていた。

他のコメディアンがショーをしている時に、アーサーが笑うタイミングと他の人が笑っているタイミングがズレているシーンがあって印象的だった。そのまんま、アーサーの置かれている状況を表現しているような気がした。社会とのズレをそのまま見ているような。

ブルースとの対比はえぐいだろうね。事実とは違っていても、同じ息子なのにどうして自分だけ、という気持ちになるのもすごくわかるし、辛い。存在を認めてもらいたいだけなのにね。

努力することが大切、積み重ねるのが大切、というのは変わらないが、それでも全て自己責任でしょ、という風潮の強い現代において、いやそうでもないかもしれないよ、私たちが恵まれているだけかもよ、と言われているような映画でした。今に感謝し、明日からも生きようと思います。ありがとうございました。
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