笑いの仮面を被れ。
映画界稀に見る、狂作。
貧困による経済的飢えと、鈍する心。
純粋で優しい者ほど理不尽に合い、悪い奴ほど甘い蜜を吸う社会。
頼みであり、支えでもあった者からの裏切り、罵り、隠していた真実。
全てを、絶望しながらも受容し、
偽りの自分を剝いだ時、彼はジョーカーと化していく。
始まりの「スマイル」と最後「理解できないさ」で終わる、皮肉な笑い。
キングオブコメディ、タクシードライバー、チャップリンからの引用。
階段で表現する、上がる辛さ、堕ちていく美学。
どれを取っても、劇薬で、狂気的で、素晴らしい作品であった。