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ジョーカーのhoyaboyのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.8
彼は人を笑わせて笑顔にしようとした。自分が心から笑えないがために、それを人を介す事で満たそうとしていた。彼は最初からダークヒーローだったわけではないのだ。

妄想の中でも(作中の)現実の中でも、人と関わる様子が映し出される。彼は決して孤独を望んでいた訳ではなく、誰かと繋がりを持つことを渇望していた。

しかしその望みは果たされず、自分の生い立ちを知り、社会から排斥されていく中で苦しみ、どんどんと深みにはまっていってしまう様子が描かれていく。

そう、苦しいから彼は笑うのだ。咳き込むほどに。笑えるから笑っているわけではない。自分の中で抑圧しきれないから笑いとして表出しようとするのだ。

恐ろしく暗い絶望的な雰囲気が作品全体で漂う中で、最後のカットはどこか本人の中でのカタルシスされた心象が表されているように感じた。
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