ハイディ

ジョーカーのハイディのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.6
9/9 ベネチア国際映画祭 金獅子賞受賞‼︎

観た!ようやく観ました‼︎

『社会的に虐げられていた男が、自身の役割に目覚める』
『世界がひとりの男を破壊していく美学・・・』
『俺が世界を壊したんじゃない。世界が俺を壊したんだ』

言わずと知れた、アメコミ界きっての最狂ヴィランであるジョーカー。そんな彼の謎に包まれた誕生を描く今作。演技面では最早兄を超えたであろうホアキン・フェニックスがジョーカーを演じます。減量をめちゃくちゃしたのか、激やせな顔つきも狂気を感じさせますが、鳥肌が立つのはやはりジョーカーのトレンドマークともなる、あの笑い声。

彼は何故笑うのか・・・?という今まで答えられていなかった疑問点にメスを入れており、且つホアキンは実にさまざまな所で急に笑いだしますが、常にその笑い声と笑い顔には哀しみを帯びた、独特な笑い方。喘息の発作よろしく、笑い過ぎて最後には首筋に手を当ててヒューヒュー喉を鳴らす姿は、観ている人の胸を締め付けます。

『ダークナイト』でのヒースジョーカーも凄まじい狂気を表現されていますが、今作のホアキン版では「不条理な世界の中で喜劇を演じるジョーカー(ピエロ)である悲哀」が圧倒的な演技力で表現されており、次第に壊れていくような姿の彼を見て、美しいとすら思えました。

特に地下鉄でのアーサーからジョーカーへの目覚めのシーン。光と影が交互に差し込まれ、アーサー(闇)からジョーカー(光)への目覚めが巧みに表現されています。ここは本当に印象的でした。

あとは皆さんが挙げている、階段のシークエンスと、地下鉄の暴動でアーサーが悠然とタバコを吸いながらジョーカーとして歩くシーン。あれは悪役なのに、カッコよくすらありました。

「人間が善良でいられるのは、奴らを取り巻く環境が善良だからさ」
「今分かった。俺の人生は『喜劇』だ」

悪に目覚める事を描いているのに、感情移入が出来てしまう大変『危険』な作品です。

が、ライティングや巧みな演出、役者陣(というかホアキン)の凄まじい演技。

それらに圧倒され、飲み込まれる稀有な傑作でした・・・はぁ、疲れた・・・ww
ハイディ

ハイディ