JKay

ジョーカーのJKayのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
絶望への救いは確固たる悪への覚醒。
失うもののない彼にとって正義が悪かなんてどうだって良い。ただ本当の自分を曝け出すJOKERとしての器だけが、彼を光へと導いてくれる。
絶望から生まれたカリスマは、重厚な音楽を伴って観客を高揚させ、信者に仕立て上げる。

アメコミ切っての悪役jokerも生まれながらに悪をもっていないとしたら、きっとゴッサムの悪を刈り取る黒い正義と肩を並べることもあったかもしれない。でも、実際にはそんなことはなくて。
人の世は面白い、片や3,000回愛しちゃう人がいる一方で、コメディアンの頭をぶち抜いちゃう人が生まれるのだから。
JOKERが正義と悪、どちらに進むのかを決めたのは、環境であり、ゴッサムであり、そもそも正義か悪かを判断するのもやっぱり人間なわけで。
僕らだって、もしかしたら顔にピエロを描いて階段で踊り出しちゃったり、あるいは、蝙蝠のように町を飛び回る未来があるのかもしれない。でも何をもってその2つを線引きをする?僕らはその狭間を生きていて、そこがどちらかなんて分かるはずもない。
jokerを生んだのは僕らだし、彼自身に正義か悪かの判断なんてない。彼は彼でその行為に後悔することも誇ることもなしに、ただただ周囲を巻き込みながら生きていく。彼には迷いがない。だからカリスマ。境界に揺れる僕らは魅了される。当然の原理だった。
78
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