映画としてはかなり完成度が高くホアキンの怪演も光って文句ない傑作だったと思う
ただ、果たしてジョーカーのエピソード0って必要だったんだろうか?
ジョーカーが他の作品の悪役たちと決定的に異なるのは彼が紛れもない純粋悪ということだと思う。
言い換えれば動機のない無邪気な悪意だということ。
略奪や虐殺を繰り返すのは、地位や名誉、金や女といった典型的な欲にかられてでもなく、まして個人的な怨恨や世間に対しての憎悪からでもない。
ただ世界に混沌をもたらしたいというだけ。
だからこそ恐ろしいんであって、だからこそゾッとするほど魅力的な悪のカリスマなのでは。
本作は普通の人間がジョーカーに変貌するまでを、観客にこれでもかと感情移入させながら描いているけど、果たして一般人が共感できてしまう時点でそれはジョーカーと言えるのかなぁ…
ベールに包まれた底知れぬ悪のカリスマだったからこそ畏怖の対象だったのに、生い立ちや人間性を知ってしまうと底が見えてあ、なーんだこんなもんかと陳腐化してしまう気がする。
…と、映画の出来云々抜きにそもそものスタンスの話になってしまったけどそんなことを思いました。