また一筋縄ではいかない作品を生み出したバットマンシリーズの奥深さ、恐るべし。
まず一つ。
カップルで見る類いの映画ではなかった。
私も妻と観たが失敗だったと思う。
一人でじっくり観るべきものです。
また、思春期の子にはあまり見せたくはない、あくまで私の意見ですが。
ここには俺たちが大好きなヒースのジョーカーとはまるで違う、圧倒的なカリスマ性など微塵もない、ただ卑小で哀れな男がいた。泣けない男が絞りだすように笑う。笑いたくて笑えた事など一度もない。言葉にならない感情を、常人なら泣いたり、叫んだりするそれらの感情をただただ笑い声に代えて吐き出し続ける。
これはジョーカーなのか??或いは俺たちが知っているバットマンのキャラとは違う男なのか。ラストになるまで確信持てないくらい今までと雰囲気違う。
正直、好き嫌いは別れるでしょう。
これはダークナイト程、多くの人が楽しめるものでは本来ありません。
ただ「誰もがバットマンになれるように、誰でもジョーカーになれる。」と言う、危険なメッセージとホアキンの熱演には賛辞を送るしかないのも事実です。
自宅のアパートまでの長い階段を苦しげに登っていたアーサーが、何かを得て、その階段を軽やかに降りていく時、彼は羽根が生えたように生き生きと踊る。
遂に解放された、狂っているのは俺か、世間か?違う、全て狂ってたんだ最初から。
神々しい雰囲気、しかし確実に邪悪な何か。ジョーカーの誕生。