朱塗りの箪笥

ジョーカーの朱塗りの箪笥のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.2
不安定な精神のバランスを辛うじて保つのはコメディアンとして在れる自分。
ホアキンの怪演が振り切ってるお陰なんだろうけど悲哀と苦痛に満ちた笑いってのがあるんだね。ほんとこんな感じだと思う。
展開の都合上って事にはなるんだろうけど社会の歪みから放たれる毒気をストレートに吸い過ぎちゃっててもうこっちは絶望の快感とまで言える正に喜劇を観ている様だった。陰鬱で粘っこい音楽もまた素晴らしい。
人間界には光と闇、陰と陽が混ざる現実があって皆そのどれかに偏ってる。怒りと苦しみ、絶望の果てにまで落ちて得るモノは洗練された陰闇の精神なのだろう。私はその片鱗を露わにした彼の姿に非現実的な格好の良さを感じてしまった。

ジョーカーと呼ばれる怪物が生まれる引き金を食い入る様に静かに堪能出来ました。
朱塗りの箪笥

朱塗りの箪笥