まずアメコミ原作映画とは思えないほどのお洒落なオープニングに引き込まれました。しかしこのオープニングに続くシーンからはとにかく後のジョーカーであるアーサーが辛い目に遭いまくり見ていてかなりしんどかったです。仕事ではチンピラから酷い嫌がらせと暴行を受けた挙句、自分に責任を負わされ、笑いが発作的に止まらなくなる精神病のせいで街の人々には冷たくされ、やる事なす事うまくいかないアーサーが本当に不憫。思わず犯してしまった罪、そして自分の存在自体が揺らぎ始め、何も信用出来なくなったアーサーの中でついに何かが壊れてしまいます。アーサーは劇中何度も笑いますが、その笑い声は幸せとは程遠い聞いてて悲しくなるような声です。ジョーカーの主演のホアキンさんは、メンタルケアをしてあげた方が良いと思います。演技とはいえこの役は辛すぎます。ヒースさんの件もあるのでかなり心配です。個人的にアカデミー賞主演男優賞は確定だと思いました。
ジョーカーを生み出したのは弱者を見捨てて時に笑い者にする冷たい社会や上流階級と一度何かを敵と見なすと異常な団結力と攻撃性を発揮する危険な大衆。予告編や本編の前半では弱者に対して冷たい社会がアーサーをジョーカーにしたのかと思いきや、カリスマとしてのジョーカーは大衆が望んだ事により生まれた存在として描かれているのが面白かったです。終盤のゴッサムのシーンが現在のとある場所のニュース映像と酷似していてゾッとしました。
確かに危険な映画かもしれませんが、富裕層への恨みが大衆に蔓延していたり、人をいじめて笑い者にするような大人が実際にいる現代社会においては、本作は多くの人に見られる必要があるのではないかと思います。
この世界でもバットマンは登場しそうなので、できればこのジョーカーとバットマンの戦いも見てみたいです。でもバットマンにとって今作のジョーカー、というよりゴッサムシティはかなりの強敵だと思います。
