ししとう

ジョーカーのししとうのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

狂気はすべての理不尽を飲み込む
そんな日々の理不尽に翻弄される私たちに勇気を与えてくれた映画だった。
彼の良心やプライドがすべからく理不尽によって蹂躙されていく様は多くの人が胸を痛めたはず。この準備によってすべてのアーサーの行為に罪悪感なく肯定していくことができた。
ヘッドショットが気持ちいい。(ダークナイトのジョーカーは銃よりナイフの方が好きらしい。理由は長く楽しめるから。)

お気に入りのシーンは地下鉄3キルとその後のダンス、あとTVに出演する前に追いかけてきた警官たちをピエロたちがボコボコにしてる時のダンス。

一応音楽について言及すると、緊張と緩和の両方をチェロによって緻密に表現してたのが良かった。ダンスの時は本当に綺麗な陶酔するような音色。怒りに震える時は弓の圧力を高めてこっちまで何かを我慢してるように感じてきてしまうような音色。こういう場面にちゃんと効果を与える映画音楽が好きだ。

シアターのシーンだけでなく、劇中で流れる名曲「Smile」からもチャップリンリスペクトは伺える。チャップリンの喜劇には政治的なメッセージが強い物もある。この「ジョーカー」にも政治的なメッセージがないとは言えないのだろう。

様々な意見があると思うが、この話の結末はハッピーエンドであると思う。たくさんのピエロに囲まれ彼は自分の存在を強く感じることができたと思う。なんせ喜劇だし。

ジャック、クイーン、キング、エース、どのカードが場に出ていようとも、一度ジョーカーが現れれば誰にも止められないのだ。さらに場に現れるのは気分次第。
ししとう

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