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ジョーカーの4413のネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「歴史に残るヴィランの誕生劇」

というのは名ばかりで、実際にはそれほど皆様が期待するほどの「JOCKER」成分は少なめだと思います。

 今作品の恐ろしいところは「世の中にはこんな恐ろしいやつがいるんだぜ」ということではなく「状況次第では誰もが狂人に成り得る」ということ。

 ここでの状況とは世間の理不尽や小さな不幸の積み重ねのことであり、心優しいアーサーに対して誰か一人でも相手がいれば優しいままでいられたのではないかと思うほど、この主人公は報われませんし、夢も歪んで叶えられていきます。


※以下ネタバレを含みます

 序盤と終盤でアーサーは精神病院にてカウンセリングを受けるシーンがあります。

 最初の診察では「笑えるネタを考えてきた」や「あなたは僕の話を聞いてくれていない」等と誰かに聞いてほしい、構ってほしいという意思があります。
 しかし終盤につれ、「俺をおかしいという世の中ぎおかしい」や「まともになれという皆はまともじゃない」等と段々とアーサー優しさの裏で貯められた怒りが世間に向いていきます。

 印象に残るのはラスト、テレビ中継で殺人を告白した際にマーレイの「で、オチは?」という問いに対し

「この話にオチはない」

という台詞が「俺の怒りはフィクションじゃないし、終わりもない」というようなイメージを抱き、「いつまで俺を笑っているつもりか、おかしいと思うお前らがおかしい」という印象忘れられません。

最後のカウンセリングではアーサーはカウンセラーに対して、

「きっとこのジョークはあんたには理解できない」

として笑います。あれだけひとに見てほしかったアーサーですが、JOCKERになったあとは「自分が面白いと思うものが面白い」のだと、ある意味素直に、皆様が知るJOCKERになって終わります。

 人の抱える狂気性を描いたドキュメンタリーのような重厚な映画でした。
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