大傑作。バットマンとかそういうことを抜きにして、1人の男の悪への進化を堪能してほしい。
これでオスカー主演男優賞が獲れないわけがない。ここ数年の受賞者を見てみたが勝てる(エディレッドメインがいい勝負だと思うがホアキンの勝ちと私は思った)。キレッキレ。
ヒーローものの流れにある作品にもかかわらずも、媚びず、アクションに頼らず、一人の男のペーソスを描いた。そして抑揚せず、どこまでも深く深く心を絞られる映画になった。
狂気だ。ジョーカーを扱う中でどうしてもジャックニコルソンやヒースレジャーと比べなきゃいけないと思っていた。が、ホアキンのジョーカーは二人をリスペクトした本作の中で別次元からのアプローチを成功させている。ジャックニコルソンやヒースレジャーが非情な悪党として描かれる中、ホアキンは孤独と屈折から狂気に至る。そしてプロセスは中々地味でかつ説得力のあるドラマに昇華された。なんていうかドキドキしたけれど、「ここからいつまでどこまでドキドキするんだろう」と不安になる要素にクセがある。
誰もが初めから悪党なのではないというテーマとホアキンのまさに身を削る熱演が融合して比類なき作品として世に残ることになる。
すぐにタクシードライバーの一場面だとわかった。一人でニヤニヤしたのだがエンドロールで確認出来てもう一度ニヤニヤした。