ストーリーに関しては、考察がある程度まで論理的に進められて、一番最後のところは確定できないところが上手く作られた映画だなという感じでとても良い。
拠り所を失った瞬間にタガが外れる、というキャラクターの描き方は王道であるものの、無理なく予測させすぎずに展開が進んでいたのも良かった。
虚構と幻想と現実と、というテーマは小説など他のどんな表現方法より映画が得意なんじゃないかなと思っている。本作も映像とストーリーと音響とセリフとでその辺りを巧妙に描く部分が散見された。
音楽と内容のギャップの不気味さが大好きなのでそこもよかった。
午前中に時計じかけのオレンジを見たのもあって、今日はそういう日だなと思った。
何より主人公の演技が苦しくってとても印象的。スイッチが入ってからの表情の違いが分かりやすいところだが、苦しそうに笑い咳き込むことって現実の人間がやるとこんなに痛切なのか。
