クリス

ジョーカーのクリスのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.5
まず一つ言及しなければいけないのは、この「ジョーカー」は有名な「ダークナイト」に出てくる、一人で様々なアクションを起こす純粋悪のカリスマのようなジョーカーの誕生秘話を描いた映画ではないということ。
これを期待した人にはがっかりするような作品になっているという印象。

ストーリーとして深みがあるかというと、「善人として生きているはずのアーサー・フレックがいかにして社会に(悪)影響を及ぼすジョーカーになるか」という単純明快なもの。
この映画の凄いところはそのストーリーを飾る仕掛けが多数用意されているところだと思う。
キャスト陣、特に主演ホアキン・フェニックスの最初から最後まで魅せる演技はもちろん、演出や音楽、音響等の表現は観るものを飽きさせない。
10年に一度の傑作と言われるのも頷ける出来になっている。

--以下内容に関するちょっとのネタバレ--
なぜこの映画が多数のメディアから危険とされているのか考えてみたところ、
特定の個人や団体から理不尽で一方的な攻撃?迫害?を受けた主人公が強くなって自分一人でやり返すという映画は結構あるものの、
社会(society)が悪いと断定し、周りを巻き込んで反発するという結末を迎えた映画はあまり思い浮かばない。
英語圏でも、「社会(society)」とアーサーが言ったシーンで鳥肌がたったという意見が多く、劇中でアーサーが怒りの感情を抑えていたものが爆発したように、社会に不満を抱いているオーディエンスが触発されるというのを危惧したものなのかなあと思った。
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