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ジョーカーのmsfilmのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3
印象的だったのは、息苦しく長い階段を登る後ろ姿と、延々と長く続く直線。
これらのショットが繰り返されるたびに、アーサーの苦しさを追体験する様に息苦しい気持ちになりました。
だからこそ、予告編にも入っていたジョーカーとして軽やかに階段を降りていく姿が解放的で惹きつけられました。たとえ、それが落ちていっていることの比喩だとしても。

キャラクターとしてのジョーカーという点で見れば、得体の知れない不気味さがあるダークナイトのジョーカーの方が好きです。
でも今の時代に描かれるジョーカーとしては、最高の答えだなと思いました。

上記の息苦しさもそうですが、普通のバイオレンス系の映画だと、いつ殴ったり銃を撃ったりが読めるのですが、この映画の恐ろしかったところは、彼がジョーカーになることはわかっているのに、いつ爆発するかわからなかったところ。その恐ろしさを追体験していく点がこの映画をものすごくリアルなものにしているんだと思います。

ただ、憂鬱な映画のはずなのに、最後はそこまで気も滅入らず。そんな点もジョーカーの気持ちを追体験してしまっているのではと、また怖い気持ちになりました…
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