バットマンのディテールはあるが、全く別の物語。ホアキン・フェニックスの瞳、口元、少し奇妙だがエレガントなダンスに引きこまれる。音楽も効いている。
初めのアーサーの笑うシーンに涙。そして、映画館をひとり出た後、泣けてきた。哀しくて切なくてやりきれない物語。
次々と明らかになる陰惨な境遇に打ちのめされる。どうすることもできない、押し流されていくドブ川のような人生の中で、偶然手にした銃。必死に踏みとどまりあがいた結果、生まれたのがジョーカーという存在なのだろう。
ゴッサムシティは、容易に想像できる私たちの未来。アーサーの目線で世界を見ながらも、私はアーサーの側にはいない。私は道に横たわるアーサーに気づいて声をかけられるだろうか。誰もがあるがまま大切にされる世界を迎えられるだろうか。