このレビューはネタバレを含みます
劇場で観て以来の鑑賞。
アーサーが俗に言う無敵の人で、京アニの放火事件とか黒バス脅迫事件被告人の意見陳述とかと重ねて観てしまった。
アーサーに降りかかる悲劇はあくまでありふれたものだからこそ誰もがジョーカーになり得ると言えばそこまでだが、アーサーにとっては残されたカードがジョーカー(ババ)しかなかったという感じがして、単なる善悪二元論に落とし込んでないのが凄い。同情とも共感とも違う感情で揺さぶられ続ける。
妄想と現実の境目が曖昧になってくところとか、強者からの搾取に耐えてきた人の鬱憤やカタルシスはまさに「これ自分の映画だー！」なんて思う人きっとたくさんいるだろうなと思うし、そういうところすごくオタク向けだし。かと思うと群衆がジョーカーを勝手に殉教者・ヒーローとして祭り上げてありがたがるシーンは、観客のそういった心理への批判にもなってたり。風刺の利き方に痺れる。
開幕のタイトルの出し方とかパロディとか階段のシーンとか曲とか、全部ひっくるめてほんとにすげえ！芸が細けえ！
こんな社会派でかつ犯罪者擁護とも受け取れる話をアメコミシリーズでやってのけたことが見事だし、こんなご時世、今現在だからこそ作られるべき作品であり、改めて映画がやれることって何？とか考えさせらる。
