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長いお別れのkaitomoのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
4.1
少しずつ進行して行く認知症の父と、彼を取り巻く家族の話。凄くナチュラルに「仲の良い普通の家族」を描いている。物理的な距離は離れ、積極的に会いに行く機会が減っていても、根っこのところでちゃんと家族を想っている感じが伝わってくる。多くを語らずともメインキャストのパワーで大体伝わる、鉄壁の布陣。中でも、やっぱり蒼井優の笑顔と泣き顔と泣き笑い顔には、やられてしまう。幸福を願って止まないキャラクターだった。
認知症を描いているし、それ以外のところでも、姉妹は激しく思い悩み、深刻な状況も多く占めるのだが、そんな中でも「ふふっ」てなってしまう瞬間がリアルにさらっと描かれていて、決して暗くなりきらないのが凄い。
家族同士では、お互いに感情をさらけ出したりはしないのに、認知症のお父さんにだけは話せることがあるっていうのも、絶妙にリアル。6年もアメリカいてまるで英語できない竹内結子のポンコツっぷりも、ある意味リアルで悲哀を誘う。
そっけないぐらいなのに余韻の残るラストも凄く良くって、じんわりきた。そして「ふふっ」となった。
長いお別れって味わいのある表現やね。
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