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十二人の死にたい子どもたちのonotoramanのレビュー・感想・評価

4.0
映画や漫画はあらすじを聞いただけで面白そうだって思えるものは、実際いいものが多いと思う。それがタイトルなら尚更だ。
十二人の死にたい子どもたちってタイトルをつけた冲方さんの、まず勝利。

12人のはずが13人目の死体が…っていうミステリー仕立てでハラハラ感を持ちながら物語は進んでいく。その謎を解いていく過程で一人一人の人物や死にたい理由が見えてくる。この構成がバッチリで、トリックとかちょっと粗いとこもあるんだけど、それ以上に12人の深堀りがしっかりされていて満足感があった。ていうか自分がティーン大好きだから、高校生男女の演技のぶつかり合いを見てるだけで果てしなくときめいた笑。

その中でもよかったのが黒島結菜。神経質な女の子のリアリティがすごい。言葉の発し方だけで人間性が見えてきたのはこの子だけかも。
逆に残念だったのは杉咲花。一番ミステリアスな女の子のポジションだったけど、一人完全に空間に馴染んでなかった…。杉咲花の使いどころはそこじゃないよ。

終わり方だけど、完全に晴れきれない感じは良かったなあ。分かりやすいエンターテイメントでこの映画が終わらなくてよかったと思う。
でも、似た映画に「生きない」っていうのがあったと思うけど、あっちのラストの方が秀逸だ。

それにしてもこの映画のテーマが本当に好きだ。子供の自殺のニュースが流れたときに頭に浮かぶ人物像、この12人はそのステレオタイプにはまらないどころか金持ち貧乏いじめられっ子ヤンキー様々だった。自殺ってそれくらい誰の隣にでも潜んでいるものなのかもしれない。
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