身内でゴチャゴチャやってますが、「他人」と出会え、と言いたい。監督は見ていて悔しくなるくらいの才気を備えていながら、できあがった映画はどうして「独り言」に終始してしまうのか。
踏み込んじゃいけない他人の領域の内側でしか、あらゆる出来事が起こらない。ずっと「ばか」でいていいわけないだろ。この人たちはいずれ人を殺すよ。というか、もうすでにこれは、殺し合いの映画ですね。
お笑い芸人の深夜ラジオを聴きながら寝るようなやつは、ひとりもいない。膨れ上がった自己愛と、自己と他者との距離感に、たまには疑いの目を向けてくれ。
【追記】
見終わった直後は監督の才気（映画表現の新規性）のほうに目が向いていたけれど、日が経つにつれ、どんどん腹立たしくなってきました。女性を馬鹿にしているし、女性を通じて男性も馬鹿にしている。平たく言ってしまえば、人間を、人間性を馬鹿にしている。そう思えてきてなりません。この監督のフォロワーはこれからたくさん出てくることでしょう、イヤですが、イヤだからこそ出てくるでしょう（だって、おもしろいから）。もしかしたらなにかの拍子に、新海誠くらいの大メジャーになるかもしれない。そうなったら、そのときはもうマジで、ノーカントリーフォーオールドメンですね。さようなら日本。
