ぶみ

プライベート・ウォーのぶみのレビュー・感想・評価

プライベート・ウォー(2018年製作の映画)
3.0
挑む女は美しい。

マリエ・ブレンナーによる月刊誌の記事『Marie Colvin's Private War』を原作として、マシュー・ハイネマン監督、ロザムンド・パイク主演により映像化した伝記映画。
世界の戦地に赴き、多くの戦争を取材してきた女性記者、メリー・コルヴィンの姿を描く。
主人公となるコルヴィンをパイク、彼女に雇われたカメラマンをジェイミー・ドーナンが演じているほか、トム・ホランダー、スタンリー・トゥッチ等が登場。
物語は、2001年のスリランカ内戦における銃撃戦で被弾、左目の視力を失ったことから、以降、黒色の眼帯をトレードマークとして取材を続けるコルヴィンの姿が描かれるのだが、まず特筆すべきは、その内戦のシーンを筆頭とした、数々の地域での最前線を再現した映像であり、その緊張感たるや半端ないもの。
恥ずかしながら、コルヴィンの存在については本作品で初めて知ったのだが、絵に描いたような強い女かと思いきや、その実はそうでもなく、多くの最前線を経験したことからPTSDを発症して入院治療をしていたり、恋愛模様が描かれたり、はたまた、タバコやアルコールが手放せなかったりと、決してスーパーウーマンではなかったことが、パイクの迫真の演技により、手に取るようにわかるものとなっている。
考えてみれば、今もどこかで起きている内戦や軍事侵攻におけるインタビュー映像等が、当たり前のようにニュース等で流れているが、コルヴィンのようなジャーナリストが存在するからこそ、私たちに届けられているものであり、そこは忘れてはならないと思った反面、ジャーナリスト魂だけで突き進んでは、周りの人間も巻き込んでしまう可能性もあるため、なかなかその線引きは難しいところ。
また、コルヴィンが既に一線級の記者として物語がスタートしていたため、何故コルヴィンがそうなったかのという前段が描かれると、もっと展開に厚みが出て良かったかなと感じた次第。
コルヴィンが、何度戦地に行っても、なぜこのようなことが続くのかがわからない、としたように、戦争の意味を問い続け、私たちに関心を持たせようとしたコルヴィンの心意気を、圧倒的な演技と緊張感溢れる映像で伝えてくるとともに、間違っても楽しいと言える内容ではないが、観て損はない一作。

普通の生活を望んだとして、暮らし方がわからない。
ぶみ

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