ShinMakita

プライベート・ウォーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

プライベート・ウォー(2018年製作の映画)
1.9
英国紙サンデータイムズの女性記者メリー・コルヴィンは、世界中の戦場を駆け回る記者である。2001年、スリランカ内戦を取材中に砲弾を受け左眼を失うが、気力が衰えることなくイラク、アフガニスタンの激戦区に入り記事を書いてきた。しかし無数の遺体と瓦礫の山を目にするうちに、次第に彼女の心が壊れ始めていく。PTSDと診断され療養生活に入ったメリーだが、2010年代を目前にして時はアラブの春真っ只中。各地で内戦が勃発し、メリーも仕事に復帰する。リビアのカダフィがおこなった虐殺を告発し、続けてシリアのホムスに入ったメリー。やがて2012年2月、現地の悲惨な状況をライブ放送した直後、アサド政権軍の砲弾によって運命の時を迎えることになる。


「プライベート・ウォー」。

以下、ネタバレを抱えていては目的地に着けない。ネタバレは、全てが終わったあとでやってくる。

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今年は実はロザムンド・パイク・イヤーと言ってよいかもしれない。先月から本作と「荒野の誓い」が公開され、今月からは「エンテベ空港の7日間」が始まるんだから。なかでも本作は、単独主演の実話モノで、おそらく本人の気合いの入りも一番なのではないだろうか。全裸をしっかりスクリーンに晒したのも初じゃなかったか?

メリー・コルヴィンという人物については不勉強ながら本作で始めて知りました。映画から伝わる印象は、もちろん「ハートロッカー」のような戦場ジャンキーなのは否めないんだけど、戦果がどうだとか兵器がどうだとかを伝えるよりも、あくまで民間人の悲劇的状況に絞って報道するスタンスなんだなぁということ。その崇高さと劇的なリポート…特にフセインが隠していた数百体の遺体を埋めた墓を暴くところ…には胸を抉られます。エンドクレジットで実際の紙面を映すのもエモーショナルでした。短い尺で駆け足なのがやや残念ですが、ロザムンド様の代表作となる堂々とした一本でした。もう、この人のことを「おっぱい弁護士」(映画「アウトロー」より)とは呼べません!
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