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ストレイ・ドッグのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)
1.5
酒浸りの荒れた生活を続ける中年女エリン・ベルは、LAPDの刑事である。17年前、FBI捜査官クリスと組んで犯罪組織に潜入した彼女は、組織のボス・サイラスが指揮する銀行強盗を防ぐことに失敗していた。捜査中にクリスが死亡し、サイラスと部下たちは逃亡したままだ。ある日、サイラスの組織の1人が死体で見つかり、エリンの元に17年前の強盗事件で奪われた紙幣が送付されてくる。カネが底をついたサイラスが、またLAに舞い戻ってきたのだ。過去の借りを返すため、猟犬と化したエリンはサイラスを追い始める…


「ストレイ・ドッグ」

以下、ネタバレ・ドッグ。


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「ダーティハリー」のようなハミダシ刑事アクションを女性主人公に変えて換骨奪胎した映画…を想像していたら見事に裏切られる作品。舞台がニューヨークでもシカゴでもなく、ロサンゼルスというのがミソ。LAPDの刑事を主人公にした作品には、あまたある刑事モノの中でノワールの匂いがひときわ強くなるんですよね。間違いなくジェームズ・エルロイの影響です。本作も、まぁニコール・キッドマンが「モンスター」におけるシャーリーズ・セロンの如く顔を変えて熱演してる点が注目されがちですが、LAPDモノであることにも注意を払わないといけません。「狼たちの街」「フェイクシティ」のように法を逸脱する猟犬デカを期待する向きには、満足の一本でしょう。しかし、上司・同僚からの電話はガン無視、獲物以外の犯罪者には目もくれない、情報を得るためなら何でもやる、という点で、もはや刑事モノですらなくなっている破天荒ぶりですけどね。見終わって気付くのは、これは刑事が犯人を追い詰める話じゃなくて、トラウマを抱えた一匹の雌犬が、狂犬病を発症しながらも、何とか人生を綺麗に幕引きしようと奮闘する話だったんだなということ。熱量と画の美しさには惹かれるものの、エリンに刑事としての矜持が全く無い点で、感情移入が出来なかったのが残念。
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