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アド・アストラの4747のレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
3.8
近未来。あらゆる技術が発展し、宇宙の開拓が進んだ世界では宇宙エレベーターが当たり前となり、多くの宇宙飛行士が日夜働いていた。中でも宇宙飛行士のロイ・マグブライド(ブラッド・ピット)は親密な対人関係を築くことに難があるものの、格闘、判断力、機体の操作、全てにおいて最高の成績を納めている。
ある日、いつもの様に宇宙エレベーターの修理任務をこなしていると、突然の超大規模サージ(宇宙嵐)に巻き込まれ、九死に一生を得る。後日、米国軍に呼び出されサージの原因が30年前に失踪した自身の父クリフォード・マグブライド(トミー・リー・ジョーンズ)にあると告げられる…。

ゼロ・グラビティを彷彿とさせる宇宙空間ならではの孤独や自身との対峙を扱った本作。全体として重苦しい空気が漂い、感情表現に乏しい主人公の苦悩や葛藤、怒りをブラピが上手に表現しているのが見どころ。

人間の本質をテーマとしているのではと感じた。攻撃性(資源の奪い合い/月から火星までの猿)、地球への回帰性(宇宙空間でのストレス/火星での安息室の奇妙さ)、孤独や固執(独りよがりな考えが孕む危険性/火星から海王星までのブラピやジョーンズの末路)など、高度に発展した文明故に、人間の本質/本能が切り出されるのが面白い。

ストーリーとしては、単純であるが、行く先々でのイベントは全て暗示的で、本作だけではその全てを理解することは出来ない。SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」やSF小説の古典「ソラリス」など、これまでのSF作品の筆跡を辿らなくてはいけない。(これだから、SFは難しい…。)
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