EDDIE

アド・アストラのEDDIEのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
4.1
太陽系を脅かす「リマ計画」の阻止のため、そして尊敬する父に会うためにエリート宇宙飛行士ロイは壮大な宇宙の旅に出る。独りを望み、孤独を憂う主人公の心情の変化に心揺さぶられる良作。

あのブラピが遂に宇宙飛行士に。しかも父親はトミー・リー・ジョーンズ!
いやね、本作はなかなかに鑑賞前は複雑な気分でして、結構SNSでは辛口な評価が飛び交っていて、中でも寝落ちしたって感想がチラホラ。
これは体調万全でいかないとと意思を固め、ちょっと観ようかどうか迷っていた「エイスグレード」をお預けして観に行きました。まぁちょっとしたトラブルもありましたが、それは最後に書きます。

本作は冒頭から凄まじい映像美と迫力に魅せられます。
地球から宇宙まで長く伸びた宇宙ステーションで作業するブラピ演じるロイ・マグブライド。するといきなりサージという電磁波により宇宙ステーションは爆発に見舞われます。そんな緊急事態にも冷静に対処するロイでしたが、ここに彼の精神力の強さが表れていました。

それから宇宙の彼方で行方不明になった父クリフォードが生きている可能性があることを示唆され、さらには太陽系を危機に晒す「リマ計画」に加担しているかもしれないということで、ロイは極秘任務として宇宙に旅立つことになるのです。

今年2019年は「ファーストマン」という宇宙を舞台にした傑作が公開されたわけですが、個人的には本作の方が好み。
ドルビーシネマの美しい映像で観たことも大きな要因の一つですが、終盤に進むにつれてロイの人間性の変化が垣間見れてヒューマンドラマとしての完成度の高さに涙してしまったんですね。
物語に抑揚が少ないので、確かに一部寝てしまったって感想があるのもわかる気がしますが、映像には常に緊張感が伝わってきてかなり集中してしまいました。

父が生きていたか、再会できたのかどうかは敢えてここでは伏せますが、宇宙飛行士として常に危険と隣り合わせな仕事に命がけで臨んでいたロイは、同僚には笑顔を振りまきながらも心は許さず、リブ・タイラー演じる妻イブのもとを去り、とにかく孤独を望んだんですね。
そんな彼が仲間を失い、故郷から遠ざかり、もはや自分以外に誰もいなくなった時に孤独の寂しさを心から感じてしまいました。
そんな彼が宇宙の彼方で孤独に耐えきれなくなり、地球への帰還を望み、真に大切なものに気付いていくんですね。凄く心揺さぶられました。

ほか、本作の見所としては、月でのカーチェイスでしょうか。抑揚は少ないと申し上げましたが、このカーチェイスが作品の中での特に盛り上がる場面ではないでしょうか。月に降り立ち、突如何者かの襲撃に遭うのですが、まぁ巧みにアップで迫力の強さを表現していました。
あとは宇宙を映すシーンの数々はとても美しく、それだけでもお金払って満足なレベル。土星とか凄く綺麗だったなぁ。

映像はともかく、本作はロイという男の心情の変化に感情移入できるかどうかで本作の評価は変わるかと思います。是非ともご自身の目で確かめていただけたらと思います。




そして、途中に書いたトラブルというのがですね、今回確実にドルビーシネマ案件だろうとドルビーシネマで鑑賞したのですが、機材トラブルにより開始時刻も遅れ、さらに何度か上映が中断してしまったんですね。
だから所々途切れ途切れになってしまい、結果的に3時間ぐらい劇場にいたことになります。
まぁ飛行機であれ、映画館であれ機材トラブルはどんなに点検しても少なからず出てしまうものだと思うのですが、やっぱり通しで観ないと何か損した気分になりますね。お詫びの対応があったので文句はないですけどね、こんなこともあるんだなぁと学んだ次第です(笑)
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