新品畳

アド・アストラの新品畳のレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
3.8
音楽が心地良すぎてめちゃくちゃリラックスして寝そうになった。
マックス・リヒターだったのね。そりゃ眠くもなるわ。

ブラピはかっこいいけど内省的な孤独はあまり似合わない気がした。
モノローグで語るよりも、無言のまま仔犬のような表情と佇まいで寂しさを表現するタイプのキャラクターのがハマる。それで彼特有のセクシーさが出るんだから凄い。

妄執に駆られ浮き世を捨てた父。
美しさに呪われた男が最果てで見たものは合理性さえもない、現象だけが存在する冷たく暗い世界だったのだろう。
父の中に残された好奇心は執念と化し、息子さえも自身の夢へと誘惑する。

懐かしさには誘引力が備わっている。
それは若者にとっては幼い頃の家族の声や生まれ育った故郷の風景だったり、生の始まりからの誘いなのだ。
しかし、老人を呼び続ける声は死の淵から発せられているのかもしれない。甘い言葉、疲弊を癒す虚無の世界からの誘い。
希望が絶望に変わったときに、一瞬だけ見える最期の光をあの父親は見たのだろうか。
全てを捨てた自分が世界に溶ける希望。

結構レトロなテーマだけど硬派なSFで良かった。好き嫌いは別れて当然のように思う。
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