きぬきぬ

TOKYO FIST 東京フィストのきぬきぬのレビュー・感想・評価

TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)
3.8
ええっとこれ、ボクシングのリング対決場面が何度も出て来るけど、ボクシング映画ではない(苦笑)
過去の事件に共通のトラウマを遺す男と男(これを塚本監督と実弟が演じてる)が、暴力的な愛に目覚めた女との傷口に塩を塗り込み(そんな場面は無いが(苦笑)、血で血を洗うような愛憎の三角関係を描いた作品なのだ。
過去を記憶の底に沈めようとしていた男は、過去を忘れることなくボクサーとなった男の出現で恋人を奪われた形となり、社会的ストレスは抱えていたけれど平凡だった生活から嫉妬と憎悪で逸脱して行ってしまう。
暴力的な快感を求めるというか、痛みを分かち合い血を流しあうような究極のSM的欲望に目覚めた恋人役の藤井かほりが素晴らしい!それに比べて男二人は女々しいくらいなのだ。

顏が変形する程殴り合う様は肉体改造/変異として「鉄男」から引き継がれているし、心象風景描写が観念的で、それがもう異次元の恋愛のようにも見えてしまう。
心も身体も血を流して、それが再生となるのか。
きぬきぬ

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