ノラネコの呑んで観るシネマ

麻雀放浪記2020のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

麻雀放浪記2020(2019年製作の映画)
2.5
タイトルとキャラクター名以外、「麻雀放浪記」要素は限りなく薄い。
終戦直後の昭和20年の世界から、東京オリンピックが中止になった2020年へ、坊や哲がタイムスリップ。
まあこの発想自体は別に悪くないが、世界観がデタラメ過ぎて入れない上に、プロットが支離滅裂。
日本はまた戦争して負けたらしいが、五輪中止以外の影響は全く描かれず、ごく普通の現在と妙にSFチックな部分がごちゃ混ぜ。
人々が何故か室内でセグウェイみたいなのに乗ってたり、グーグルグラスみたいのを掛けてるけど、“なぜ”乗っているのか、“なぜ”かけているのかが劇中で検証されないから、「SFぽくしたかったから」にとどまり、ひたすら嘘くさい。
猥雑なのは良いけど、適当でいい加減なのはダメだろう。
作り手が「異世界を作ることの難しさ」を舐めてるな。
本来世界観そのものが風刺となる話だと思うが、世界観もキャラクターも取り止めがなさ過ぎて、ただのおちゃらけた与太話にしかなってない。
これなら設定の近い、「あゝ、荒野」に描かれた近未来の方が、ずっと説得力があった。
一連の炎上宣伝も、結局中身が無いからあれしかやりようが無かったと言うことか。
唯一面白かったのは、劇中で逮捕された坊や哲が、謝罪会見したりグッズが撤去されたりするとこ。
あそこだけは、図らずもピエール瀧騒動の皮肉なパロディになってた。
色々残念な映画