劇場版『コンフィデンスマンJP』1作目
華麗な手口で人を騙す信用詐欺師のダー子、ボクちゃん、リチャード。彼らの次の獲物は冷酷非情さから「氷姫」と呼ばれる香港マフィアの女帝ラン・リウが持つと言われている伝説のパープルダイヤ。早速、香港へ向かい彼女に取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなか上手くいかない。そんな彼らの前に天才詐欺師ジェシーや、日本のヤクザ・赤星らが現れ、事態は予測のつかない方向へと向かっていく。騙し騙される三つ巴の戦いを制するのは一体誰なのかという物語。
色仕掛け以外の詐欺を見事にこなす頭脳明晰な詐欺の天才ダー子、ダー子たちにいつも振り回されているお人好しの好青年ボクちゃん、超一流の変装技術を持ち経理も担当する品の良いジェントルマンのリチャード。
そんな彼らの前に立ちはだかるのが、天才恋愛詐欺師のジェシー。女性の心を弄び大金を騙し取る事が得意なクールなイケメン。彼の手に掛かればどんな女性をも落ちてしまう。意外にも終盤に情けない一面が垣間見え、クールさとは真逆の側面が可愛く見える。
今回のオサカナ(ターゲット)は、誰にも心を開かず氷のように閉ざされた香港マフィアの女帝ラン・リウ。彼女の心を開くものは恋(ロマンス)であり、伝説のパープルダイヤを巡りあらゆる策を講じて彼女から宝石を奪おうとしていく。ロマンス編という事で恋愛に纏わるストーリー。
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★コンフィデンスマンJP用語
●オサカナ⋯
弱者に不利益をもたらす悪徳商法や、反社会的組織の人間と結託した違法行為等で巨額の富を築いたトップの獲物となる人たちのこと。
● 子猫ちゃんたち⋯
手に入れた金の一部を報酬として受け取る代わりに、ターゲットの情報収集からエキストラ、直接近付いての入れ知恵等、様々な形でサポートをする手下のこと。
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恋愛映画の名作だからなのか『ゴースト/ニューヨークの幻』のパロディもあって面白い。
今は亡き三浦春馬や竹内結子といった大好きな演技派の俳優2人を見れるのは貴重だし、2人とも凄く素敵な表情をしているなと思う。
ドラマを観ていなくても楽しめるから結構好きな作品。物語は2転3転して飽きない構成になっているし、終盤には予想もしない大どんでん返しがあって本当に面白い。よく脚本が練られているし、鑑賞者に与える情報の見せ方も上手で綺麗にまとまっている。
目に見えるものが真実とは限らず意図して作られた演出なのかもしれないという、詐欺に騙されている事に気づかない被害者に気づかせるような話なのが良い。物事は見た目だけじゃなく、多面的に捉えろってことなんだろうね。
観ているこちらも爽快な程に騙される大どんでん返しはお見事だし、詐欺を働く相手は一般人ではなく悪い事をして稼いだ悪党のお金だからスカッとする。コミカルな作風で見やすいし、チョイ役でも豪華なキャストが登場しているからその辺も楽しめる。
初見だと見事爽快に騙されて面白いし、2回目以降だと張られている細かい伏線を楽しむことができるから何回観ても面白い。終盤のネタばらしが格別。
Official髭男dismの主題歌『Pretender』が余韻として残る。
恋は、
いつだって自分を欺くことから始まり、
他人を欺くことで終わる。
これが世間でいうロマンスというものである。
オスカー・ワイルド
©︎ダー子