冒頭の、美しい森の中で太陽の光に照らされた蜘蛛の巣🕸が綺麗。…と思ったら、ラストシーンにも出てきた。
蜘蛛🕷ってすごいね。
あんな美しい造形を作っちゃうんだもの。
意図せず…だもんなあ。
いやいや、蜘蛛の話はおいといて。
本作は、父が娘が追い求める理想と現実についての物語。
とにかく森の、緑、光、水といった自然を感じられる作品。観ているだけで、ヒーリング効果があるんじゃないかってくらい気持ちがいい。
しかし、この父親はたぶん、なんらかのPTSDを抱えている。広大な公園の森の中で娘とふたり暮らしている。家もおそらく持っていない。
そんな父を愛してやまない娘トム(トーマシン・マッケンジー)。年頃の女の子が森の中で暮らすのは大変だろうなあと思うけれども、このトムにはなんてことない。父と一緒に、人に見つからないような訓練なんかをしてる。
彼女は強いんだ。
ところが、ふたりが居住しているところは公有地で、法には触れないものの、立ち退きの対象だ。
ある日、見つかってしまい保護される。これを機に、仲が良かった父娘の関係が少しずつ変化する。
役所の人(かな?)は住まいを提供し、トムの学校の手配もする。何もかも手際が良く、父娘に考える時間を与えない。娘はそれなりに新しい環境に適応するが、父はやはり逃げることを選ぶ。
どうしても社会に馴染めない父の気持ちも分からなくもないが、娘の「お父ちゃん、もうええやん。わたし、しんどいねん」みたいな気持ちのほうが分かるなあ。
父を演じたベン・フォスターは、健康的で肌も真っ白できれいなので、サバイバルしながら、ホームレス生活をしてきたようには見えなかったのが少し残念。そこをもうちょっとこだわって作り込んでいたらもっと良かったかも知れない。
トーマシンは相変わらず、可愛くて魅力的。少し、訛りのある(たぶん)話し方も、少年ぽい彼女に合っていて目が離せなかったな。
ラストの彼女の決断も、凛とした雰囲気と相まって自然と応援したくなった。そう、人生は誰のものでもなく自分のものなんだ。