こつぶライダー

ジェミニマンのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

ジェミニマン(2019年製作の映画)
2.0
これはかなり酷かった。。。

引退を決意した敏腕スナイパーと、そのクローンをウィル・スミスが演じたSFアクション。

クローンはクローンでも、かなり若い設定となっており、CGを駆使しながらウィル・スミスが一人二役をこなした。

相変わらずアクションスタイルは様になるし、特にバイクアクションは痺れるものがあった。

演技に関しても、引退を決意した円熟味がある主人公ヘンリーと、クローンという事実を知り産みの親への愛情と憎しみの狭間で苦しむジュニアと、双方の心情を良く演じ切ったと思う。


ただ、この作品の良かった点はこれだけ。

以下、酷評しかしません。


悲しいことに、本体vsクローンという構図を引っ張り、観客を惹き付けるだけのエネルギーはないように感じた。

それもそのはず。
実は1997年に既に公開を予定していた作品で、当時の映像技術では難しいと流れてしまっていた。
20年も前に構想されていた内容とあり、目新しさは皆無。非常に残念だった。

2000年あたりからはクローンを題材とした作品が多数公開されており、2019年公開作品としては古臭さがあっても当然である。


肝心の設定がゆるゆるな点は目をつぶったとしよう。
それでも物語自体に面白さがなかった。


悪夢を見るヘンリーの過去についてほとんど描かれない。
裏で平和のために雇われ暗殺業をするが、そこでの苦悩が描ききれていない。
自分の人生を後悔するあまり、クローンにはそうなってもらいたくないと未来を託すにしても、背景がぼんやりし過ぎて感動は薄い。


また、はじめに自分が狙われ、仲間が殺され、監視役の女と逃亡……の流れが急過ぎる。
冒頭からノンストップにするより、彼や事件の背景について、もう少し人物にスポットライトを当てて描いて欲しかった。

仲間が死んでいったり、敵対する相手もかつての仲間とか、設定からして心情に訴えかけそうなのにさ。
全然仲間だった頃のエピソードとか語られることなく終わってしまい、ビックリ仰天よ。


監視役だったダニーも位置づけが分かりづらかった。
ヘンリーとどうなるの?
恋仲?にしては歳の差が……。
結局有耶無耶のまま。

メアリー・エリザベス・ウィンステッドはかっこいい演技で魅せたものの、陳腐な物語で台無しだったなー。


ラストも呆気なかった。
はじめからジュニアの未来に焦点を当てたストーリーなら納得できたけど、暗殺家業の引退で起きたトラブルがメインだったわけで、結局何が言いたいのかよくわからない作品だった。

エンタメ性にしても、ジェリー・ブラッカイマー製作としてはアクション規模が小さくて不安定だったし。


案の定マーケット上でも赤字だったそう。
あたり前田のクラッカー。

久しぶりに時間の無駄ってレベルの作品に遭遇した。。。
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