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テルアビブ・オン・ファイアのArlecchinoのレビュー・感想・評価

4.1
パレスチナのTV局が第3次中東戦争をネタにして制作したカサブランカ風メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」が(パレスチナの)奥様達から人気を博している(ユダヤ兵にもファンが多数いる)。ひょんなことから主人公サラームは脚本を書くことになるのだが....
ドタバタ劇ですがひねりが利いていて面白かったですね。決して「今となってはギャグにできる」ってわけじゃなく現実にイスラエルの暴虐は止まないし、パレスチナ人の悲劇は続いているんですが、敢えてギャグにしたところにあっぱれです。笑えない現実をうまくユーモアにしています。制作はルクセンブルク/イスラエル/フランス/ベルギーなのですが、主役はパレスチナ側の人々です。イスラエル側の自虐がある程度入っていて、アラブの立場も忘れずに描いているところが良かったですね。良心を感じました。

監督/脚本のサメフ・ゾアビ(パレスチナ系イスラエル人)によれば「実際の軍事的占領を描くのではなく、“精神的な占領”を描きたかった」とし、「劇中のアッシが強固に『(メロドラマの対立する国家間のキャラを)結婚させろ』と要求するのは、結婚式はオスロ合意を象徴しているから。非現実的な要求を、イスラエルの彼は押し付けようとする。精神的占領は両国が持っていて、検問所で日々感じていることなんです。(中略)願わくば答えよりも、より多くの“質問”や“疑問”を提起したい。疑問は多ければ多いほど良く、みんなに考えてほしいんです」だそうです(Wikipediaより)。深いです。
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