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ソン・ランの響きのchipのレビュー・感想・評価

ソン・ランの響き(2018年製作の映画)
4.5
「少年の君」と似た雰囲気を感じました。

借金の取り立て屋とユンと劇団の役者リンフン…
力づくで非情な世界と芸の世界…。
ほんのひと時を一緒に過ごした二人が
互いの心を少しだけ開いた、
そんなふうに感じました。
間違いなく友情だった、
そう思います。


二人とも両親を亡くしていて
きっと心の中では寂しかったと思います。
ユンの父はソン・ランの奏者でした。
ギターのようなベトナムの楽器なんですね~
ユンが奏で、リンフンが唄う…
その調べは深く気持ちに染みるように感じました。
時間がゆっくりと流れていました。

ベトナムの伝統歌劇は、京劇と似ていて、
生演奏付きのオペラのような舞台でした。


何度か出てくる、
屋上の「SINCO」の文字の看板…
80年代のサイゴン(ホーチミン)の大企業だったそうです。
夕焼けの中の看板とユンの黒いシルエットが美しかった。。
二人とも確かに変わろうとしたけれど…
ラストの激しい雨が。。
ユンがそこにいたことさえ流してしまったみたいで
やっぱり哀しかった。。


幾重にも絡まった電線が
アジアを感じます。

くじに外れると愛に当たる、と…
お店のおばさんが言っていました。
いいことばだと思いました。
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