シネクスー面白映画発掘人

メランコリックのシネクスー面白映画発掘人のネタバレレビュー・内容・結末

メランコリック(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます


#人生こんなはずじゃなかった

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300万円という超低予算映画としてはかなりリアル。
主演#皆川暢二 がプロデューサー、相方松本の#磯崎義知 が構成・演出。
平日は仕事があった監督#田中征爾 と3人で週末中心に撮りきったとか。
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銭湯で死体処理やってるっていうトンデモ設定の映画。
面白い設定で興味持ったものの、
そこで出オチ終わりしない名作でした!

和彦が色々首をつっこみすぎてしまい、
うわー…
って思ってると結構ノリ気っていうところからズルズル引き込まれますw

ホラーっていうより、20代前半の仕事観みたいな感じにも見える。
あまり専門性なかった自分が、特定のミッション任せられて、
同期と競争するみたいな。

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アクションシーンもあったりするが、
カメラ台数が少ないからか
殺陣が若干ゆっくめに見えるのは不思議な撮り方。

間とか後半のやり取りも少しギャグテイストが入っていて
全然サスペンスメインって感じでないのが不思議な感じですねーw

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食卓のシーンも象徴的で、一見仲の良い家庭ですが、
どこか興味ありそうでない感じのやり取りが続くものの、
(揚げ物とかばっかりw)
だんだんと、無口な和彦の口数が増えていくという変化を通じて
その成長が見て取れるのは面白いです。

そういった意味でもホラーとかってよりは、
ハートウォーミングなドラマ
的要素のが強い作品な気がします。
中心にあるのはバイオレンスなテーマなんですが、
それが日常みたいな流れ方しているんで、
上記でいった仕事とか人間関係とかに置き換えてみることもできる点も
見どころなのかもしれません。
(普通に仕事あるあるダナーみたいな部分も多々。)

あとは大人から見た子どもへの恐怖みたいな話だったり、
同窓会での雰囲気だったり、結構色んな切り口が入っているのも
味わい深い一因となってる気がします。
(彼女のベッド、一人暮らしにしては広すぎだろうw)

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特にラストシーンがいい感じで、裸をさらけ出す脱衣所という場で
心も裸になって、みんなでやり取りするのはいい〆ですよね!
彼女ともうまくケリついてるし!
(松本筆頭に死亡フラグビンビンでしたよね?w)

最後に同窓生がちゃんと支援側で回収されてくのも
ちゃんと作られてるなー
とより一層感じさせれられる部分でした。

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元々和彦も松本もどこかおかしな感じだったけど、居酒屋での前夜を境に
人間っぽさがどんどん増していくのも良いポイントです。
それぞれの幸せの形について語るシーンも必見で、
価値観や育ってきた環境が違うから幸せも異なるという主張は、
東大ニートだがプライド高かったり、
相手も気遣える風の殺し屋だったり
といった2人のキャラをうまく活かしたメッセージとなっており、
案外この辺りから終盤にかけての流れが最大の見どころなんでしょうね。
コンビ仲が深まっていく様子も感じ素敵なシーンでした。

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ケチャップを血に見立てるのを殺し屋相手にやるか?とか、
ヤクザのバックが黙ってるわけないだろ!とか、
なんか音がブツブツ切れてる?とか
色々気になる点もなくはないですがそこまで違和感も大きくなく、
『人にとって何が大切なのか』という点にフォーカスしているのは
この映画最大の魅力かと思います!

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と、色々褒めちぎってココまで来てしまいましたが、
細部までしっかり作られた邦画を観たい方、
#カメラを止めるな に引き込まれた方、
本作必見かと思うので、是非ご覧ください―!