ちいさな泥棒

ノイズのちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

ノイズ(2006年製作の映画)
4.9
観てるこっちまで頭がおかしくなるやつ。

『マシニスト』のブラッド・アンダーソン監督。元々聴覚のよい男が息子を失った悲しみでますます聴覚が研ぎ澄まされ正気を失ってゆく。編み物の擦れる音、蝿の足音、ミミズが蠢く音…脳神経に障るノイズにこちらも疲弊した。聞く、聞こえてしまう、聞かない、この対比が興味深い。

聞こえてしまうのに妻の話は聞こうともしない(聞かない)、聞こえない、このあたりが好きだった。

この監督は精神的に病んで病んで正気を失った先に、普通の人だったらアカンやろってことがその人にとっては救いや安堵になるような作品が好きなんだなと思いましたね。

メイキングまでかなりおもしろかった。
ひとつおもしろかったエピソードを。

実際のウジ虫を使っていて撮影後に袋に入れていたのを忘れてそのまま車に置き去りにしてしまい、数週間後車を開けたらブワワ〜〜!!っと蝿の大群が舞ったよ、という私だったら「ギィィィヤァァァァア!!」と腰を抜かすお話をスタッフさんがキツかった、ではなくこんなことがあってさ最高に楽しかったよ!って話してたクレイジーさが好きでした。