みやび

ハイ・ライフのみやびのレビュー・感想・評価

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)
4.3
究極の密室、目覚める欲望

近未来。太陽系外に広がる漆黒の宇宙を突き進む宇宙船7に乗るモンテと赤ん坊のウィロー。
本作が描くのは終わりなき旅と生まれてしまった「タブー」についての物語。

私が本作を観る上で注目したのはタブーという言葉だ。
本作の冒頭でモンテは赤ん坊のウィローに「うんちとかおしっこを食べることはタブー」だと話していた。
でもそれが話されている場所、宇宙船の中でそのタブーは成立しない。
なぜなら汚染水を浄化して飲み水にリサイクルしているからだ。
さらに、言葉も分からない赤ん坊にこんなこと話しかけたところで理解してくれるはずがない。
つまりこのシーンはある意味、モノローグ的な役割を果たしているとも考えられる。
倫理観の揺らぎ。
彼は口に出すことでタブーがタブーでなくなってしまうことを否定しようとしているのではないだろうか。
頭では理解しているが、その結末を拒もうとしているのではないだろうか。

当たり前だったはずのタブーが、時と場合によってはタブーではなくなることがある。

父と娘

ひとりの男とひとりの女

性欲と繁殖
これらの欲求が個体を増やすために遺伝子にプログラミングされた欲求なのだとしたら、彼らの辿る結末とはいったい。

エンドロール中、本当に頭を抱えた。
考えるのをやめてしまいたくなるほどに恐ろしい。
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