もう一つの"インターステラー"
ストーリー
漆黒の宇宙を漂う一隻の宇宙船。そこには、科学者が行うある実験に参加するため、死刑や終身刑を言い渡された重犯罪人たちが乗っていた。
主演 ロバート・パティンソン
監督 クレール・ドニ
フランスならではの「おしゃれインターステラー」
宇宙服や防護壁が色鮮やかで宇宙ものでは見た事がない色使い。
全体を"あえて"チープな作りにしているのが返って"未知の怖さ"の演出を倍増させている。
3つの時代を描くとともに過程、始まり、結果の不可思議な構成にしたためになかなか理解し難い部分も多々ある。
結局、メインに伝えたいことは「人間奇跡」なのだろう。
広大な宇宙に駆り出され、ブラックホールを目の前に気が狂う者、犯罪を犯す者、禁欲をする者、胎児を育もうとする者。
これら全てがブラックホールの前ではちっぽけなはずなのに、宇宙船の中で巻き起こる集団心理はどれも"生きる"事から始まっているからだ。
"生きる"から子供がいらない、贖罪として子供が欲しい、生きているから性欲が湧く、人間が未知の世界に踏み出す事、それは奇跡であり"罪"。そんな道中を罪人が旅をするという、ある意味残酷かつ明快な仕掛けなのだろう。
それにしてもわかりにくい。
しかも長い。フランス人監督特有の間延びを間延びと感じさせない仕掛けはチラホラ見受けられるが、答えに辿り着くまでの過程があまりにも長い。
多分、インターステラーの反説をやっているのと同時にリスペクトがあるから、インターステラーで描かれなかった"排除された時間"軸をドニ監督は「ノーラン監督は排除したが、自分は"あえて"そこを描く事に意味がある!」という意気込みでやったのではないか?と推測している。
だからこそのこのラスト。
答えもなければ終わりもない。
誰も知らない答えの中に消えていったのだと思う。