kikuchi

夜の来訪者のkikuchiのレビュー・感想・評価

夜の来訪者(2015年製作の映画)
4.0
原作未読、1954年版未鑑賞。

とても面白かった。
偶然が過ぎるところはあれど、グール警部の正体を明らかにしないことでただのミステリーで終わらせないのがうまいなと思いました。

社会階級はもちろん、会社での上司と部下や職場での店員と客、家庭での親と子などどんな小さなコミュニティであってもパワーの強弱はあって、そのすべてにおける上位者の傲慢さが凝縮されていました。

現実では弱者が自責でない理由で職を辞そうが、然るべき援助を受けられずに生活に困窮しようが、最悪の場合死のうが、虐げてきた側がその理由を省みることなんてないんだろうなと思います。

糾弾されているまさにそのときは追い詰められたような顔をしていながら、疑惑が晴れた(と思われた)ときに祝杯をあげ始めるのにゾッとしました。
人を貶めた事実は何も消えないのにああやって喜んでいるのを見ると、結局、ああいう人たちは悪い結果が公的に暴かれさえしなければどんなことでもするし、つまりはどんなことをしても平気な人たちが結果的にのさばるんだなと妙に納得しました。
子供達2人がしっくりきてない態度だったのが救いだと思います。

an inspector callというタイトルは、callであることに意味を感じたので、やっぱり翻訳って難しいなと思いました。
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