何と不思議な映画を観たのだろうと思った。
美しい川のロングショットから始まる映像は画面の画角まで異なる。ワイドともスタンダードとも違う。まるで絵画のような画面。主人公の1人であるメイは14歳ながら結婚し、妊娠して子供を育てる。
ベトナムではかつて一夫多妻が認められ子孫を多く残すために第一、第二、第三夫人と段々と若くなっていく女性と結婚していくようだ。
タイトルロールのメイの視点によってこの慣習をやや俯瞰気味で全体を覗いている。その効果により我々も感情移入せずにやや客観的にかつドキュメンタリータッチな雰囲気で本作を鑑賞していく事になる。
物語にこれといった起伏もなく大きな出来事もあるわけではない(後半に少しはあるが)が、繰り返すように美しい映像が心地よい空間を映画館に与えてくれる。
画面比率1.5:1の画面は、小さく見えてしまう事は間違いないが、ベトナムの歴史を知ると同時に神秘的な世界へと観客を誘ってくれる