柊

残された者-北の極地-の柊のネタバレレビュー・内容・結末

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

マッツ・ミケルセンだからこそ成り立った映画、と言ったら彼贔屓すぎるだろうか。それでも、ほぼセリフのない中で、マッツの重厚な存在感と目線一つで語るような表情の演技、全てがこの作品にぴったりだと思った。
ある程度の日常、ルーティンをこなしていく中で半ば緩慢な自殺のように日々を送っていた彼にとって、出会った生存者は彼の希望でもあったのだろう。一人では行動できなくても、誰かを助けるという場合によっては重荷になるようなものでも、力と行動力を与えてくれたりする。
人間の弱さと、力強さと、極限でも半ば自分のためでも働く優しさに胸打たれた。
「独りじゃない」、自分に言い聞かせているような切実なセリフに胸が詰まった。

最後、手を握るという行為はこの作品では「大丈夫、生きてる」の証。彼らは二人とも最後まで手を離さなかった。だからきっと救われたんだと私は思う。
柊