ぷかしりまる

運び屋のぷかしりまるのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
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掛け値なしにおもしろい。出てくるセリフも全て活きていてうまい。運び屋というタイトルから内容はお察しだろうが見せるところと見せないところがよく練られていて緊張と弛緩のバランスがよく楽しんで見られた。血みどろのマフィアものかと思っていたが年相応に図々しい爺さんの珍道中だった。コカインを運んでる最中車に盗聴器をつけられてるのに気付かず歌いまくるのも面白かったが、車がパンクした黒人家族を助けつつ彼らの前で思いっきりニガーって言ってしまって「爺だから許されるか…?」みたいなギリギリの線をゆくクライム寄りのおとぼけって感じ。爺さんゆえに人生経験で機転をきかしたりする一方、電子機器の操作のミスとかやらかしそうでドキドキした。レビューで「この映画から時間は金で買えない、または仕事より家族が大事だという教訓を…」みたいなものが多数目についたし、お爺ちゃんの人生教訓みたいなものは若干匂うが、ぷ的にはそういう映画ではないと思いました

あまり関係ないかもだけど、アート・スピーゲルマンのマウスという、ホロコーストを体験した父親の過去と現在を息子が振り返る漫画があるのだが、それを読んだ時に、壮絶な戦争体験の一方で鬱陶しく苛立たせる性格の頑なな老人像が描かれていたことを思い出した。老人は人生経験とそれゆえの頑固さを持ち合わせているというか…