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運び屋のchakaのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.0
映画の冒頭と結びを飾る
オレンジ色の可憐な花

~デイリリー~

デイリリーとは英名で
ヘメロカリスという名を持つその花は
開花したら一日で萎んでしまう…

クリント・イーストウッド演じる
齢 80歳を超えたアールは
兵士としての役目を終え 戦争とは無縁の
デイリリーを育てる農園を営む

彼は家庭を一切省みず
花の品評会には
オシャレをして出掛けていき
女性の扱いにも長け、ジョークも上手く
周りからも1目置かれる存在

時代と共に事業も衰退して
農場は差し押さえられ
家族には見放され1人になったアールは
それとは知らず 多額の報酬を受け取る
麻薬の運び屋として働く事になる

アールが受け取った多額の報酬は
最初こそ自分の農園を買い戻したり
孫娘の学費に充てたりしたが
経営の困難な施設に寄付したり
街の人々への奉仕に使ったりして
周囲の人々に感謝されコミニティーの
中心的存在に舞い戻る

しかし家族との溝は
そう簡単には埋まらない
デイリリーを育てるには
時間も労力も使う
人間だって同じ
いやそれ以上に人間関係を築くのは
難しい事なのかもしれない
妻の最期に立ち会えた事で
一人娘とは復縁できたが
運び屋という犯罪に手を染めた自分を
裁くべき全ての罪を受け入れるアール

彼が刑務所の花壇で育てる花は
~デイリリー~
その花の花言葉は
苦しみからの解放
彼の人生に
長いこと寄り添った
彼を物語る花だった
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