「運び屋」(原題:The Mule)
クリント・イーストウッド監督&主演作。
近年の彼の作品は、ノンフィクション映画の枠をギリギリ保ったドキュメントに迫るほどにリアルを追求していた。
昨年公開の「15時17分、パリ行き」では、2015年8月21日に起きたタリス銃乱射事件に実際に巻き込まれた3人を本人役で主演させている。
映画を通して伝わってくるのは、
彼自身の経験、そして後悔先に立たず、わかっていてもそうすることのできない人間の本質を85歳でシナロア・カルテルの麻薬の運び屋となった男を演じながら皆に伝えてくれている。
「お金でなんでも買えたけど、時間だけは買えなかった。」
終盤のこのセリフに全てが集約されている気がする。
一つのことに身を捧げ大事なものを失った主人公を、映画に全てを捧げたきた彼だから表現できる。
今あえて演じることを選んだその答えをぜひ劇場でご覧ください。