ぺんじん

運び屋のぺんじんのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.2
お爺ちゃんが麻薬の運び人?…かなり深刻なストーリーかと思いきや、意外とほのぼの珍道中!それというのも麻薬運んでるのにお爺ちゃんめちゃめちゃマイペース。イカつい麻薬組織のお兄さん達から早く麻薬運べって言われてるのに、寄り道したり、人助けしたりと全く言うことを聞かない!逆にお爺ちゃんのマイペースドライブのせいで警察は大量の麻薬が運ばれているのに全然運び人を見つけらない…そりゃあ鼻歌歌いながら運転しているお爺ちゃんが麻薬ドッサリ運んでるとは思わないもんね…
お爺ちゃんは朝鮮戦争での兵役も経験しており、かなりガッツもあるから麻薬組織のお兄さん達、そして元締めのボスからもかなり気に入られる始末…しかも若い女性とのベッドシーンもあるだって!…しかも2人も…ケシカラン爺さんだよ!
これはまさにクリント・イーストウッドの実人生の写し鏡!仕事人だけど家族をあまり省みず、至る所で女性とイチャイチャ!子供もあちこちにいるんだよね…しかも娘役に実の娘さんを使っているだって…嘘だろ…そう考えるとこの作品自体がイーストウッドの悔恨と贖罪であり、また次世代へのバトンパスのように思えてくる。『グラン・トリノ』は頑固爺さんから移民達も含めた次世代へのバトンパスだったけど、今回は自分の駄目な部分もさらけ出した、ちょっとお茶目なバトンパス。「俺は駄目だったけど、若い人は頼むよ」というような。
それでも最後のドライブのシーンは往年の『ダーティハリー』を思わせる険しい顔にゾクッとした!脇役には今をときめくスター俳優達が揃っているのに、そこを感情を込めずにサクサク撮るのもイーストウッドらしいなという感じがした。
かなりヤバイ犯罪を扱っているのに何だかほのぼのしてしまう愉快な作品!これが遺言だとは思いたくない!まだまだ元気に作品を撮っておくれよ、イーストウッド!女性関係はほどほどにね!
ぺんじん

ぺんじん