ジョー

薬の神じゃない!のジョーのレビュー・感想・評価

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)
4.0
薬の価格高騰に関してはドキュメンタリーでも見たような…程度の知識しかないわけですが、市場独占状態だと金持ちは生きて貧乏人は死ぬディストピア世界になるわけだ。人の作る世の中に善なる秩序はほぼないと思っていますが、だからこそ法と公助があるというのに、それも機能しないなら生きることすら難しい。
薬を断たれたら死ぬ。公助がないから治療が受けられない。働こうにも身体は動かない。身内に一人でも重病人がいればもはや足枷になるわけで、冷徹な表現をすると病人の介護だけでも手一杯のところ働いて高価な薬を買う余裕はない。日本も似たようなもんでしょう。等しく福祉を受けたいのは高望みでないはずなのに実態は金がなければ治療も薬も手にできない。

ろくでなしの主人公が持つ、あって然るべき同情心や善良さ。善良さといってもガンジーやナイチンゲールみたいな神がかった聖人ではない。ただこの人の金儲けや狡さ、他者を騙せる軽薄さによって本来助けとなるべき公的な医療や製薬会社より人命に寄り添った。偽善って言葉にしても行動によって人命を助けるなら十分な行いになる。
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