まつけん

薬の神じゃない!のまつけんのレビュー・感想・評価

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)
4.1
2014年の中国で起きた陸勇事件を基にした映画。
これはぜひ観て欲しい映画です。実際の事件後には、中国の高額医療や貧困問題が世間の注目を浴びたことで、政府も動き出し、李克強総理は、高額薬品の価格引き下げや薬品管理法など法律も変わるに至った事件。

前半のコメディタッチと後半のシリアスな切り替えは息を飲む。テーマは一貫して重いのに、魅せ方が上手いと思う。なんせ、白血病とジェネリック薬品と密輸と貧困問題ですから。
2018年に中国で公開され、中国内だけで14日で436億円の興行…額が半端ない。。

ストーリーは、強壮剤を売る程勇が主人公で、儲からず家賃も払えない。見るに見かねた知り合いが、慢性骨髄性白血病患者の呂という男を紹介する。彼は国内で承認された薬が高過ぎて買うことができず、インドのジェネリック薬品(同じ効能)を密輸して欲しいという。インドで買うと原価が1瓶あたり100分の1の値段と言うから驚きだ。
中国での偽お薬(国内未承認なだけだけど)は捕まると10年、20年、下手すると無期。最後に主人公が取った行動とは果たして。

あらすじだとここぐらいまでしか書けないけれど、いろんなドラマが詰め込まれてますので是非!
これ、滅茶苦茶難しい話だと思うんですよね。
・患者からしたらもちろん効能がある薬を安価で手に入れたい。しかも5年後とかではなく、待った無しな訳で。
・製薬会社からしたら、R&D費を注ぎ込んだ新薬な訳で特許が切れる前になんとか収益を出して次の薬開発に繋げたい
・政府としたら承認していない薬で万が一が起こったら大変なわけで、簡単に認めるわけにはいかない
・警察としたら法律は侵しているから捕まえないといけないけれど個人にブレイクダウンしたら良心が悩む
もちろん程度の問題はあるでしょうが、複雑に絡み合った話な訳ですよね。。
映画なので脚色し、貧困層の味方的立ち位置になると思うけど資本主義に置いては企業のことも分かるし、、お薬というモノだから、どんどん使っちゃえと言うわけにもいかないし…

で、実際の事件を軽く。実は映画と違って、陸勇事件は、陸勇という男が白血病にかかり、イマチニブを服用していたが、その薬価の高さに窮して、インドのジェネリック薬を個人輸入して服用。その輸入薬によって病気は改善したので、他の白血病患者のために善意でジェネリック薬代理輸入をやったところ偽薬販売などの容疑で湖南省公安当局で逮捕、起訴されたという内容。
なので、映画とはちょっと違う部分もあります。映画では主人公は病気ではなく、周りのキャラクターが病気を抱えていて主人公の考え方が徐々に変わっていく感じ。
この事件の後、薬神事件と言うものが起き、これは多額のお金を儲けていたお話。この要素もこの映画には含まれています!

観て欲しいけど、鬼滅の刃のお陰か、、映画館が少ない!少し分けて欲しいくらい少ない。
まつけん

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