とら

蜜蜂と遠雷のとらのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
4.2
表現ってなんなのか。
この映画が伝えたいことは、音楽は世界だ、なんてハッピーなんだ!ではない。
ピアノの演奏によって、過去のトラウマを乗り越えることができましたメデタシメデタシではない。

ピアノひとつによって、それを弾くひとりによって、そこに世界が立ち上がる。それは、あるものにとっては幸福だろう、しかし、それは恐怖でもある。世界を、立ち上げるのだから。

そしてその世界の恐怖そのものは、人間個人が抱える心の闇と同じで、つながっている。黒い馬、心の暗黒、それが世界そのものの恐ろしさ。
その、表現するということの恐れまで描ききったのが本作だ。
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